Bubbleは、画面、データ、処理を組み合わせてWebアプリを作るノーコード開発環境です。「コードを書かない」ことと「設計が不要」なことは同じではありません。導入前に、作りたい業務の範囲を整理しておくと判断しやすくなります。
この記事では架空の「備品購入申請アプリ」を一つ作る想定で、Bubbleでできる範囲、設計が必要な箇所、最初に試すべき流れを具体化します。画面だけ完成しても、申請者以外の情報が見えたり、承認後に二重登録されたりすれば業務では使えません。
01Bubbleでできること
画面の配置、データ型の定義、入力フォーム、一覧表示、ログイン、外部APIとの連携などを組み合わせられます。Bubbleではイベントとアクションからなるワークフローが、ボタンを押したときの動作やデータ更新を担います。開発の入口は視覚的ですが、処理の順序や例外条件は通常の開発と同じように考える必要があります。
備品申請なら、申請者が品名・金額・理由を入力する画面、上長が未承認の申請を一覧する画面を用意できます。Data type「申請」に品名、金額、申請者、状態などのFieldを持たせ、「申請ボタンを押したら入力を確認して保存する」「承認ボタンを押したら状態を更新する」というWorkflowを作るイメージです。Bubbleが画面やデータ操作を視覚的に組み立てられることと、金額の上限・承認者・二重送信を自動で判断してくれることは別です。
02導入前の判断軸
新しいサービスの試作や、利用者の動きを確かめたい業務アプリでは、画面と処理を行き来しながら検証しやすい利点があります。一方、扱うデータ量、外部連携、複雑な権限、運用体制によって設計の難しさは変わります。誰が何を閲覧・編集するか、将来どの機能が増えるかを簡単な表にしておきましょう。
たとえば「社員20人が月に数十件申請し、上長が承認する」試作なら、必要な画面と利用者の役割を小さく決めて検証できます。一方、「複数会社の利用者が同じアプリに入り、会社ごとにデータを厳密に分離し、会計システムと連携する」なら、権限、API、障害時の運用を先に設計すべきです。利用料金やワークロードも利用規模で変わるため、制作前に最新の料金・制限と必要件数を照らし合わせます。
判断表には「申請者は自分の申請だけ閲覧」「上長は自部署の未承認だけ閲覧」「管理者は全件を監査」と書けます。画面上でボタンを隠すだけでは保護にならず、BubbleのPrivacy Rulesでサーバーから返すデータを制限する必要があります。
03最初の一歩
画面を大量に作るより、申請から承認まで、予約から確認まで、といった一つの流れを選びます。入力、保存、一覧、権限制御、例外時の連絡まで試すことで、見た目だけでなく運用できるかを確認できます。公開前にはプライバシールールと各役割での動作確認を忘れないようにします。
備品申請なら、まず架空の社員Aで1件登録し、上長Bが内容を見て承認し、社員Aの一覧に状態が反映されるところまで作ります。次に別部署の社員Cでログインし、Aの申請が検索でも詳細画面でも見えないことを試します。空欄、上限超過、承認ボタンの連打、上長不在も試験します。成功時にだけ「申請を受け付けました」と表示し、失敗した場合は入力を残して理由を示すと、現場の再入力負担も評価できます。
04具体例で判断する:向いているケースと事前確認
Bubbleは、画面・データ・操作の流れを組み合わせて検証したいときに候補になります。ただし、必要な外部連携、権限、利用者数、運用担当の有無によって適切な構成は変わります。ノーコードだから設計が不要というわけではありません。特に個人情報を扱う場合は、公開範囲と保存する項目を先に決める必要があります。
まずは「誰が、どの情報を、何のために使うか」を書き出し、短い業務フローを一つ実装します。その結果を使って、必要な機能、保守の負担、別の技術を使うべき部分を判断すると、手戻りを抑えられます。
試作の合格条件も先に決めます。例として「申請者・上長・別部署の3役で期待した情報だけが見える」「通常の申請から承認まで担当者が迷わず進める」「二重押下で申請が増えない」を設定できます。これは架空の例であり、自社の実案件では処理件数、必要な連携、許容できない失敗を置き換えて判断してください。
参考資料
内容は公開時点の公式資料をもとに構成しています。仕様は変更されることがあるため、導入時は最新の公式情報をご確認ください。

